関節リウマチは、何らかの原因で身体の免疫に異常が起きて、自分の身体の成分を異物として攻撃してしまう病気です。 症状は主に関節にあらわれ、関節の痛みや腫れが左右の関節に対称的に出るのが特徴的です。また特に、朝関節が動きにくい『朝のこわばり』や微熱・疲労感などもおこります。
関節の炎症が続くと、次第に骨や軟骨が破壊され、関節が固まったり、変形したりしてしまいます。関節破壊の進行は、病気の初期からおこることがわかってきました。 そのため関節破壊を進行させない治療を発症早期から積極的に行うようになっていきました。
1)関節リウマチの治療の基本は、病気の進行を抑えることと、痛みをとることです。
基本的に薬物療法を行います。
○抗リウマチ薬(DMARD)・・・炎症の原因である免疫異常に働きかけ、病気の進行自体を抑える目的のものです。一般に効果があらわれるのが遅く、早くて1カ月、遅いと半年かかることもあります。
○非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)・・・痛みと炎症を抑える、速効性のある薬です。
○副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)・・・炎症が激しい場合などに使用します。
○生物学的製剤(抗TNF製剤)・・・近年発売され、上記薬を使っても効果が十分でないリウマチ患者さんに使用され、効果が報告されています。
などがあります。
2)手術療法
手術療法は、適切な薬物療法やリハビリテーションを行っても痛みが減らない場合や、関節障害のために歩行が困難など日常生活に支障が出る場合などに行います。
滑膜切除術、関節を人工関節に入れ替える「機能再建手術」があります。
3)リハビリテーション
薬には痛みや炎症をとる効果が期待できます。しかし、薬にばかり頼って関節を動かさないでいると、関節が固くこわばってしまうことがあります。毎日続けるために、家庭でのリハビリテーションが大切です。毎日繰り返し長く行えば、関節の機能障害を抑え、痛みもやわらいでいきます。
生物学的製剤(抗TNF製剤)について
関節リウマチの炎症や痛み・腫れ、そして骨や軟骨などの関節破壊を引き起こす原因となる『TNF』という物質を抑えることにより、その効果を発揮します。
この生物学的製剤の登場により、関節リウマチの治療は大きく進歩しました。
現在、日本では2種類の生物学的製剤が使われています。
これまでの抗リウマチ薬に比べ、生物学的製剤には非常に高い炎症抑制作用がありますが、投与中は特に肺炎や結核などの感染症に注意が必要になります。
生物学的製剤の治療を開始するにあたっては、その必要性、効果、費用に関して医師と十分に相談することが大切です。
当院ではこの生物学的製剤をつかった関節リウマチ治療を行っています。